FC2ブログ


呼ぶ声

Category: 短編集  




何だか頭が重い。
何か大事なことを僕は忘れている気がする。
でも……、それがなんだか分からないんだ。

真っ白な世界の中を僕は漂っていた。

「何故こんなところにいる?」
ふとした声に辺りを見て、僕は息を飲んだ。

美しい金色の瞳が僕を映していた。
黒髪が白いドレスの上に広がり、その後ろから光る翼が見えた。

それは、じっと僕の目を見つめて言った。
「お前……。大事なものを無くしたね。」

その言葉が妙に心に引っ掛かった。
一瞬僕の脳裏を何かが横切った。
「お前、自分が何者か覚えているか?」
その問いに、僕はようやく不安の元が分かった。


名前が思い出せないんだ。


僕の目の前で、それは悲しげな表情をした。
「自分が何者か思い出せなければ永久にここを彷徨うぞ。」
その瞬間、僕の脳裏に一つの場面がよぎった。

『…に命を預ける。』
『…と組む。』
『…と音楽する。』
誰かが僕に向かって誓ってた。
1人じゃなくて3・4人くらいいた。
「どうやらお前には命を預けた仲間がいるみたいだね。」
目の前の彼女は、期待に満ちた目で僕を見つめた。
どうして今のことが分かったんだろう?

「私の目は時を超えて過去も未来も見れるのさ。」
彼女は僕の心を読んでいるように話した。
「お前にはまだ仲間がいるね。」
また脳裏を何かが横切った。
『…には仲間になって欲しい。』
『…なら認めるぜ。』
『さっすが…。』

さっきとは違う声がした。

ふと、唇から自然と旋律が零れ落ちた。

♪~~~~~~~~~~~♪
旋律と一緒に記憶の欠片が繋がり始める。
ああそうだ…。
僕は…。


俺は……。


「あっ。起きた。」
聞き慣れた声に意識が覚醒する。
「びっくりしたよ。急に倒れたから。」
視界に安心した表情の皆の顔が入る。
「もう、大丈夫だから。」
俺は起き上がって、皆の顔を確かめるように見つめた。

俺に命を預けてくれて、
俺を必要としてくれて、
俺を仲間と認めてくれてる。
それが今は良くわかった。
それにしても、あの真っ白な世界とあの女は誰だったんだろう。
女神を思わせるあの姿が脳裏からずっと消えなかった。


 
 
関連記事

Comments

03  « 2021_04 »  05

sun m tu w th f s
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

プロフィール

文月 礼楽

Author:文月 礼楽
ようこそいらっしゃいませ。
ここはとあるおもちゃ工場の片隅にある工房。
管理人文月 礼楽が様々なコンテンツを製造中です。
妄想と空想が原動力となっていますので、閲覧にはご注意ください。

月別アーカイブ
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
小説・文学
570位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
89位
アクセスランキングを見る>>
お留守番達






fxwill.com
Live Moon ブログパーツ
月と星と妖精ダストのブログパーツ ver2
QRコード
QR