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雨音と心音

Category: 夢幻旋律番外編  



雨が窓を強く打つ音に結音は目を覚ました。

本を読んでいたつもりだったが、いつの間にか眠っていたらしい。

時計を見ようと体を起こそうとしたところで、綴の寝顔が視界に飛び込んだ。

リビングにおかれた真っ白いソファーは、2人が一緒に寝転んでもまだ余裕があるくらい大きい。

どうやら結音の寝顔を見ているうちに、綴も一緒に眠ってしまったらしい。

その証拠に、結音の体の上だけにブランケットがかかっていた。

毛布を互いを包むようにしてかけ直して、結音はもう一度横になる。

そんな結音に気がつかないで、綴は隣で規則正しく呼吸を繰り返している。

結音が綴の胸のあたりに頭を寄せると、ドキドキと規則的な音が結音の耳に響いた。

「当たり前か・・・。」

ポツリと結音は小声で呟いた。

 

綴だって自分と同じ「人間」。

自分と同じように呼吸もするし、心臓も動くのは当たり前。

だけど―。

このままずっと今のように一緒にはいられない。

遅かれ早かれ、いつかは別れなきゃいけない日が来る。

それは、いつ来るかわからない永遠の別れの日だ。

 

そこまで考えて結音は切なくなってギュッと綴にしがみついた。

「ん?結音?どした?」

その衝撃で綴が目を覚まして、結音の顔を見る。

「ごめん。起しちゃった?」

「んーん。まだちっと眠い。」

謝る結音の頭を撫でながら、綴は欠伸をかみ殺していた。

「あと温めるだけだから、夕飯までもうちょっと寝てようか?」

愛する人の無防備な姿を見ながら、結音は小さく笑った。

「珍しいな。結音がそんなこと言うなんて。あぁ、だから今日雨が降ってるのか。」

綴はニヤリと笑って、毛布と一緒に結音を抱き寄せた。

結音はフフッっと笑って、綴のされるがままにした。

 

いつか別れるとしても、どうか今はこのまま穏やかに過ごしたいと思いながら。


 
 
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