とあるとき、とあるところ、とある星に
Category: 落書き
とある王国があった。
作物の実りはよく、戦もなく、心優しい王が治めていた。
王には、1人の姫がいた。
姫は年頃になると、1人の青年と恋に落ちた。
青年は平民だったが、王は2人を祝福した。
国中が彼らを祝福した。
しかし、婚姻の日に悲劇が起きた。
大臣の1人が、謀反を起こして姫を幽閉したのだ。
姫を取り戻そうとした青年は、大臣に返り討ちにあって死んでしまった。
姫を手に入れた大臣は、姫の力を欲した。
それは巨大な力で、使い方によっては星を滅ぼすこともできてしまう力だった。
愛する人と引き裂かれた姫は、悲しむばかりで大臣の言葉が耳に入っていなかった。
怒った大臣は、手に入らないのならばいっそなくしてしまえと姫の胸を刺した。
そのときに姫があげた悲鳴が、膨大なエネルギーを伴って爆発し、星の全てを砕いた。
姫はたった1人生き残ってしまった。
姫は自分がしてしまったことの恐怖に泣いた。
その時どこからともなく声がした。
『お前の罪は重い。その罰として、お前はこの銀河の中で一つの場所にとどまり続けることはできず、永久にさすらう旅をするのだ。けれどお前の愛する人の魂を見つけられたら、その時お前の罪を許そう。』
その日から姫は、銀河を彷徨う歌姫となった。
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