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国立ムーサ音楽大学

Category: 夢幻旋律  



カーテン越しに入る朝の日射しに、時宮 綴はいつも通り目を覚ました。

そのまま綴はテキパキと朝の支度を済ませ、キッチンへと足を向ける。

朝食は洋食派である綴は、フワフワの半熟オムレツを手際良く作りながら、コーヒーを淹れる準備をする。

時折、キッチンのカウンター越しに寝室の反対に位置する扉に目を向けるが、その扉が開く気配はない。

2人分の朝食の準備を済ませた綴は、仕方なく開かない扉に続く階段を上った。

 

神宮寺 結音は、朝日を浴びながらまだ寝息をたてて眠っていた。

寝室の扉が静かに開き、男が1人ベットに腰掛けても気がつかない程、深い眠りについていた。

「おい、結音。起きろよ。」

男は慣れた様子で、結音の体を揺さぶって起こそうとする。

しかし、結音は小さく声を立てるだけで目を覚ます気配がない。

「起きろよ、結音!!朝食全部食っちまうぞ!!」

男が少し語気を荒げると、ようやく結音は眼を覚ました。

「・・・・・・それはヤダ。」

結音は、自分を起こした男―綴―をはねのけるように飛び起きた。

「じゃあ、とっとと支度して降りてこい。待っててやるから。」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべた綴は、クシャリと結音の頭を撫でると、部屋を後にして階下へと降りて行った。

 

朝食を済ませた2人は家を後にすると、最寄りの駅から通勤通学客を大量に乗せた電車に乗りこんだ。

「っしゃ!!1限と2限休講!!」

携帯を片手に綴は電車の中で、小さくガッツポーズをした。

「あぁ。私も今日5・6限休講になってる。」

結音も綴の隣で、携帯を眺めながら呟いた。

「よっしゃぁ!!じゃあ今日は久しぶりにに六郷兄貴の店行こうぜ!!」

「うん。そうする。」

子供のようにはしゃぐ綴を見て、結音も少し微笑んだ。

やがて目的地の駅に到着すると、楽器のケースやパンパンに膨れた鞄を抱えた大勢の人と共に2人は電車を降りた。

 

国立ムーサ音楽大学。

「楽士」や「クセラ」達の良き学び舎であれと、最初の「楽士」や「クセラ」達によって設立された学校である。

人類史上最古にできた音楽の学校であるこの学校は、これまで数多くの優秀な「楽士」や「クセラ」を輩出していることで名を馳せている。

また、近代になってからは国からの補助を受けることにより、全国トップを誇る施設と設備が設けられ、国内・国外から入学を希望する者が後を絶たない。

 

結音と綴は見慣れた校門をくぐり、伝統と歴史にあふれた大学の敷地へと足を踏み入れた。

「じゃあ私、実習打ち合わせがあるから先行くね。」

結音は綴の返事を待たずに、自分の所属するコースの校舎へと走り去った。

綴は結音の後ろ姿を見送ってから、サークルの仲間を見つけて声をかける為に、歩み去った。

2人はこの音楽大学の学生であり、結音は音楽療法コースに、綴は作曲コースに所属している。

今日も2人は他の学生達と変わらない1日を送るはずであった。


 
 
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