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雨音と心音

Category: 夢幻旋律番外編  



雨が窓を強く打つ音に結音は目を覚ました。

本を読んでいたつもりだったが、いつの間にか眠っていたらしい。

時計を見ようと体を起こそうとしたところで、綴の寝顔が視界に飛び込んだ。

リビングにおかれた真っ白いソファーは、2人が一緒に寝転んでもまだ余裕があるくらい大きい。

どうやら結音の寝顔を見ているうちに、綴も一緒に眠ってしまったらしい。

その証拠に、結音の体の上だけにブランケットがかかっていた。

毛布を互いを包むようにしてかけ直して、結音はもう一度横になる。

そんな結音に気がつかないで、綴は隣で規則正しく呼吸を繰り返している。

結音が綴の胸のあたりに頭を寄せると、ドキドキと規則的な音が結音の耳に響いた。

「当たり前か・・・。」

ポツリと結音は小声で呟いた。

 

綴だって自分と同じ「人間」。

自分と同じように呼吸もするし、心臓も動くのは当たり前。

だけど―。

このままずっと今のように一緒にはいられない。

遅かれ早かれ、いつかは別れなきゃいけない日が来る。

それは、いつ来るかわからない永遠の別れの日だ。

 

そこまで考えて結音は切なくなってギュッと綴にしがみついた。

「ん?結音?どした?」

その衝撃で綴が目を覚まして、結音の顔を見る。

「ごめん。起しちゃった?」

「んーん。まだちっと眠い。」

謝る結音の頭を撫でながら、綴は欠伸をかみ殺していた。

「あと温めるだけだから、夕飯までもうちょっと寝てようか?」

愛する人の無防備な姿を見ながら、結音は小さく笑った。

「珍しいな。結音がそんなこと言うなんて。あぁ、だから今日雨が降ってるのか。」

綴はニヤリと笑って、毛布と一緒に結音を抱き寄せた。

結音はフフッっと笑って、綴のされるがままにした。

 

いつか別れるとしても、どうか今はこのまま穏やかに過ごしたいと思いながら。


非常階段にて

Category: 夢幻旋律番外編  



「あ~・・・。」

がっくりと肩を落として、公望は非常階段の柵に寄りかかるように座り込んでいた。

うつむいた顔にかかる髪を秋風がそっと撫でている。

「何、空気の抜けた風船みたくへこんでんだよ?」

建物の中に続く扉を開けて、綴が顔をのぞかせる。

「ほっといてくれ・・・。」

そのまま綴は、消え入りそうな声で答える公望の隣に座り込む。

「どーせまた、愛美ちゃんになんか言われたんだろ。」

「・・・わかってんなら聞くな。」

ハハハと笑いながら綴は、ズボンのポケットを探って何かを取り出した。

「せっちゃん。これでも吸って気分転換するか?」

公望は目の前に差し出されたものを見て、少し驚いた。

 

「意外だな。綴も吸うんだ?」

「まーな。結音の前じゃ吸えねーから、こうやってこっそり吸ってるんだけどな。」

「なんで吸えないんだよ?」

「結音は、これの匂いがダメみたいなんだよな。煙草の匂いって感じる前に、咳きこんじまうから。」

そう言って綴は、煙草の灰を灰皿に落とす。

「面倒くせぇな。」

「いや、まぁ。喉にも悪いから一応本数は徐々に減らしてるんだけどな。」

最近じゃストレス溜まった時にしか吸わねーよ、と綴は話を締めくくった。

 

「そういえばせっちゃんだって、愛美ちゃんの前じゃ吸わねーじゃん。」

「ああ、だって吸うと『お兄ちゃん臭い』とか言うから。へこんでる時に言われたら最強に辛いし。」

さらりと物凄いことを口走っているように感じたが、綴はあえて何も触れないことにした。


男子の野望

Category: 夢幻旋律番外編  



「小町ちゃ~んw会いたかったよ~w」

「ちょっ!!神宮寺先輩!!苦しいですぅ!!」

「あ~やっぱり懐かしいな~この制服。もう2度と着たくないけどw」

「先輩、ネクタイ引っ張らないでください!!昨日ボタンつけ直したばっかなんですから!!」

「あ~。あのゲームまだ流行ってるんだ~w」

「だからやめてくださいってば~w」

久しぶりに会う結音と小町がじゃれあっているのを遠くから眺めるいくつかの人影があった。

 

「いいよな~。結音はあんな風に触れて。」

ため息をつきながら、杉田 清史は2人のやり取りを見続ける。

「明らかに俺らに対する嫌味だろアレ。」

清史の隣で、小島 英紀がいらいらしながらガムを噛んでいた。

「え?そうなの?」

2人のやり取りに穴守 天が焦りを覚える。

「冗談に決まってるだろw」

戸部 龍三が、笑いを堪えながら天の素直さを再認識する。

「あ~、女の子抱きしめたい!!」

星川 仁の言葉に、その場にいた全員が強く頷いた。

 

「いいよな~綴はいつも結音抱きしめ放題だもんなw」

花月 翔が、ニヤニヤ笑いながら隣に座る綴を小突いた。

「・・・・・・そうでもねぇーよ。」

綴はがっくりと肩を落としながら、結音のいる方を見る。

「結音はあんまり人に触られたくないみたいなんだよ・・・。」

マジかよー!!と皆が口々に叫ぶ。

「だってさー、ちょっと背後から抱きしめようとしたら、パチーンって平手打ちだぜ?もう俺どうしたらいいか・・・。」

項垂れる綴に皆は同情と羨望の混じった視線を向けた。

「あぁ・・・。女の子抱きしめたい!!」


貴方の嫁は?

Category: 夢幻旋律番外編  



綴「結音は俺の嫁!!!!!!」

 

花月「俺の番組のリスナーは全員嫁!!!!!!」

 

川崎「望月 希は俺の嫁!!!!!」

 

穴守「結音と望月 希は俺の嫁!!!!!!」

 

星川「望月 希は俺の嫁!!!!!!」

 

 

結音「男性陣全員私がもらったーっ!!!!!!」

 

男性陣「・・・・・・。」


ムーンストーンの記憶

Category: 夢幻旋律番外編  



お題から創作!-1

 

星のよく見える町に、少年は生まれた。

少年は生まれた時にムーンストーンを握りしめていた。

そのせいか少年は、物心ついた頃から月の出た夜空を見上げると無邪気に喜んだ。

 

ある日、少年は不思議な夢を見た。

自分の住む町ではないどこか知らない異国のような景色の中を歩く自分。

その隣で、月の光の様な白銀の髪を持つ美しい女の人が笑顔で歩いている。

少年は、一目でその人に心を奪われた。

 

また別の日に、少年は別の不思議な夢を見た。

いつか見た異国の様な景色が紅蓮の炎に包まれていた。

そして、あの白銀の髪を持った女の人が今度は大粒の涙を零して泣いていた。

少年は、その光景を見て胸が痛んだ。

 

少年は女の人に笑顔でいて欲しいと思った。

けれど、どうすれば彼女に会えるか分からなくて、途方に暮れた。

 

少年は学校に通い始めた頃、1つのおとぎ話を聴いた。

ある星のお姫様が、己の罪によって永遠に銀河を彷徨うようになった話を。

少年はもしかしたらあの女の人が、そのお姫様ではないかと思った。

いつか星の海へ渡って、お姫様が自分の探している人かどうか確かめたいと思った。

少年は宇宙への強い憧れを抱くようになり、必死に勉強を始めた。

 

月が満ちるように時は流れていく。

少年の憧れは月日が経つにつれて強い願いとなり、胸の奥で静かに情熱の源となっていく。

少年は、胸の奥に秘めた思いを誰にも打ち明けずに一心不乱に勉強を続けた。

挫けそうになると、ムーンストーンを握りしめながら夜空を見上げて自分自身を励ました。

 

やがて、少年は青年となった。

少年の日に抱いた夢を抱えたまま。


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文月 礼楽

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